2023年度第3回北総文化研究会が行われましたNEWS & TOPICS

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2023年度第3回北総文化研究会が行われました

 12月15日(金)17時より本学の北総文化研究センターが主催する2023年度の第3回北総文化研究会が行われました。

 演者は、近現代河川行政史が専門分野の梶原健嗣教授で、発表のタイトルは「近世利根川舟運と利根川水系の変容」でした。

報告の概略は以下の通りです。
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都市は、生産・消費そして廃棄の過程をその外部に頼らざるを得ないため、物流の整備は、都市が都市として存続するうえで、不可欠の事項である。近世物流の中心は海路・河川を連携した舟運であり、江戸は舟運によって支えられた都市であった。
その観点からすれば、利根川水系の河道史は、もっと舟運に注目する形で考察されてよい。この時、舟運機能の阻害要因である河川水量や土砂堆積の問題は、重大な考察事項となるはずである。だが、その点に関する考察は、流路の変遷史に対して二次的な問題とされてきたように思われる。
利根川水系の改変は、17世紀の寛永年間(1624~44)に始まる。その背景には仙台藩をはじめとする東北諸藩の廻米需要があった。利根川を遡行する舟運にとって、常陸川上流部の河川水量は大きな課題・障害であり、鬼怒川の付け替えをはじめとする利根川水系の改変は、江戸を都市として成立させる物流機構の整備にとって不可欠だった。
しかし、そうして改変された利根川水系も、18世紀には洪水のたびに土砂が堆積し、浅瀬が生じてくる。その点を克服するため艀下(はしけ)輸送が生み出され、他方、行徳みち(木下街道)をはじめとする陸路も整備された。そうしたなか、1783(天明3 )年に浅間山が大噴火する。この噴火以後、利根川水系で洪水は頻発化するようになる。とりわけ1786(天明6 )年には、利根川治水の要である中条堤や権現堂堤も決壊した。利根川の河床はさらに上昇し、利根川舟運は、一層浅瀬障害に悩まされることになった。
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 発表後には、聴衆から質疑が続き、開催時間が足りないと感じたほどでした。

 北総文化研究会は、発表20分と質疑40分の合計60分で構成され、年に3〜4回開催されています。質疑の時間を多く持たせることで、参加者に活発な意見交換を促すことを目的としています。

 次回は2月に行われる予定です。

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