授業紹介「障がい者コミュニケーション」NEWS & TOPICS
本年度から新規開講した講義の様子を、受講生の感想も交えて紹介します。
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「障がい者コミュニケーション」
心理・生活専攻の選択科目です。講師の小川雅夫先生は、県立聾学校でのご経験や、言語聴覚士として聴覚障害判定の業務にも携われています。講義は、「こんにちは」「はじめまして」などの基本的な挨拶を手話で行う演習でスタートします。単なる座学ではなく、手話を知るためには手話を使えることが必要だという考えのもと、わかりやすい図、動画、先生の実践を通して、手話や指文字を練習していきます。学生たちも、まだぎこちないながらも一生懸命に指を動かして演習に取り組んでいました。
小川先生は講義中お話されるときに、ずっと手話を使いながら会話してくださいます。講義では、大切なこととして、「皆さんが手話を使って聴覚障害の人とコミュニケーションを取ることは、聴覚障害の方たちに言語を獲得してもらうためになるということを覚えておいて下さい。」と学生にお話しされていました。
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受講生の声:2年 大床 しおり(筑波大学附属聴覚特別支援学校出身)
この講義では聴覚障害と視覚障害について学び、聴覚障害を中心に学べます。私は聴覚障害を持っていて、乳幼児の時から高校まで聾学校に通ってきました。しかし、聴覚障害者の歴史などは深く知らなかったので、この講義を機に聴覚障害の歴史や他の学校での教育法などを知りたいと思い、受講しました。先生は要所要所で聾学校に勤めていた時の話を話してくださるので、生きた情報を得ることが出来て面白いです。
まだこの講義を受講して3回目ですが、私が一番印象に残った話は、1880年以降から1992年まで日本では手話での教育が認められていなかったということです。当時の聾学校では手話を禁止され、口話法という口の形で言葉を読み取る方法で教育をしていました。なので、学校内で手話を使うことは許されていませんでした。しかし口話法だけの教育だけでは限界があり、厳しいということになりました。その後、1993年に文部省(当時)により手話をコミュニケーションの手段の1つと認められ、やっと手話を使って教育が出来る今の時代になったのです。
私が通っていた聾学校は、幼稚部・小学部まで音韻サインという口話を補助するサインを使って、口話法の教育をしていましたので、私は少し口の形を読むことが出来ます。中学部・高等部では、他の聾学校から生徒が来るので手話を使う機会が増え、手話を使って学校生活を送るようになりました。私は、口話も手話もどちらの教育も受けられたので、感謝しないといけないなと気付かされました。半年間この講義を受けるので、聴覚障害だけではなく視覚障害についてもより深く学べることを楽しみにこれからも頑張っていきたいと思います。
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